2000/11/28
ライオンハートの話
某グループがそんなタイトルの曲を出していますが、歌詞を読んでぶっとんでしまいました。ちょっと待て。
ライオンハートを恋愛の言葉に使うのは絶対禁句です。たしかにライオンハート(正確にはLionhearted)という言葉には「勇敢」とか「勇猛」という意味がありますよ。でも、ライオンハートの語源となっているのは獅子心王ことイギリスのリチャード王です。リチャード王というのは十字軍遠征に従軍するなど文字どおり獅子奮迅の活躍をしたため、ライオンハートという称号を持ちました。ところが、この王様には三才のときからフランスのアレー姫という婚約者がいたのですが、これを空約束にし、しかもこの姫を父親のヘンリー二世に差し出し(!)、自分はさっさと別のスペインの王女と結婚してしまいます。それからアレー姫はイギリスに軟禁し、アレー姫が祖国フランスの土を踏めたのは三十になってからというひどさです。アレー姫はその後フランスのギョーム伯爵と結婚し、ジャンヌという娘を産みます。このジャンヌは獅子心王の弟の息子のヘンリー三世、つまりアレー姫が差し出されたヘンリー二世の孫、獅子心王の甥と婚約します。ところが、このヘンリー三世もまたジャンヌとの婚約を一方的に破棄するというとんでもないことをするのです。つまりライオンハートの語源には婚約破棄だの裏切りだの、そういったやばい雰囲気が満載しています。「君を守るため」どころか、「君を裏切るため」の心がライオンハートなのです。
リチャード王は十字軍遠征などの理由があったとは言え、王位についてから十年の間で本国イギリスにいたのはたったの一年だったと言います。そういえば最近某グループの一人ができちゃった結婚することになったようですが、本人はだいぶ忙しいようで。獅子心王のように十年後にたった一年しか一緒にいられないとかそんな理由で離婚会見したりしないでしょうねぇ。その前に十年もつかという話もありますけれど。


 

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