2002/07/13
フェロシアン化物の話
さて、今回も添加物関連のニュースです。12日に厚生労働省がフェロシアン化物の使用をを特例的に認可するというニュースが入ってきました。
フェロシアン化物は主に塩の固結防止剤として使われている物質です。一口にフェロシアン化物といっても多数ありますが、調べたところ今回対象になったのはフェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、フェロシアン化ナトリウムの三種類のようです。これらの物質は、日本と韓国を除くと、ほとんどの国で使用が許可されている物質です。その割に危険度についてのデータは、それぞれ調べてみたのですが見つかりません。ACGIHにも無ければIARCにもありません。それでも探すとWHO/FAOにADI値が見つかりました。25mg/Kgです。体重50Kgの人がフェロシアン化物でADIを越えるためには、一日あたり1.25gも必要です。ようするに「安全」としか言いようがありません。今回の特例について、健康情報研究センターの代表という人が遺憾の意を表していますが、その理由が「天然塩の見直しによって、消費者は塩は固まるもので、溶けても固まっても構わないと思っているし、慢性毒性や発ガン性についての科学的情報を持っていない」というものなのですが、どうやら彼はACGIHやIARC、WHO/FAOといった国際機関(いやACGIHは米国産業衛生専門家会議で国際機関ではないが)をまったく信用していないようです。ついでなので、消費者が「塩は溶けても固まっても構わないと思っている」という、やってもいない科学的統計データを提示してください。私は「国際的に安全性が保証されている物質を入れることで固まらないなら、そちらのほうがいい」と考えています。ほら、少なくとも1件は反対の意見がありますが、どうでしょう?
実は、このような無茶苦茶な意見が出る背景に関して、私はある点を疑っています。そのことについては改めてテーブルトーク内で語ろうかと思います。少なくとも、「厚生労働省の怠慢」という単純な事態では無さそうです。


 

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