2002/02/26
コーヒー賠償金の真実の話2
続きです。
その手紙の内容は、マクドナルドで販売しているコーヒーの温度を下げてくれるようにというお願いと、自分がかかった治療費のうちの2000ドル、及び、その間に世話をしてくれたために働けなかった自分の娘の不労による損害の補償を要求しました。ところが、マクドナルドはこの要求に対して、治療費にも満たない800ドルだけの支払いを回答しました。その結果裁判となったのです。訴訟理由は「不当に危険で不完全に生産されたコーヒーを売ることの重過失」です。マクドナルドは事故の責任は全てこの老人にあるとし、和解を断って裁判に持ち込みました(この点、つまりマクドナルドが和解を断り、裁判に訴えたという点も重要)。この裁判自体は、いまだにろくに調べもせずに老人が悪いように書いているサイトと同様、陪審員も初めは決して老人に好意的ではありませんでした。コーヒーをこぼして10万ドルの訴訟なんて、と思ったのでしょう。ところが、調査してみると意外に重傷を負っていることがわかり、さらにマクドナルドに対する調査を行ったところ、10年の間に同じようなクレームが実に700件を越えて寄せられていたことが判明しました。つまり、マクドナルドはこのような危険性が以前から指摘されており、しかも以前に700人以上の人に同じような被害を与えていたにも関わらず、まったく対策を取らなかったのです。このことからこの事件はほぼマクドナルド側の過失(老人側には20%の責任相殺)であることが判明しました。結果として、陪審員はマクドナルドに対してコーヒーの温度を下げさせ、このような事故を再発させないために懲罰的損害賠償額としてコーヒーによる売上約2日間分(270万ドル)の裁定をしました。結局、この額は判事によって64万ドルに引き下げられ、最終的には和解内容を秘密事項にする(つまり賠償金額は不明のまま)という条件で法廷外での決着となりました。
さて、その後も事実を調べもしない人の手によって中傷され続けているという現状を考えて、彼女は本当に不当に利益を得たと思いますか?


 

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