2002/01/15
宿便の話2
続きです。
現実には宿便というものは西洋医学の世界にはまったく存在しないものです。もちろん私も西洋医学が全て正しいとは言いませんが、少なくとも宿便に関してはこれは東洋医学のいい加減な知識の産物にすぎないと言いきれます。ちょっと衝撃的かも知れませんが、そもそも腸壁に谷などというものは存在しないのですから。確かに腸壁にはひだが存在しています。山の部分や谷の部分があります。しかし、これは固定的ではなく、あくまで一時的なものにすぎません。そもそも、便がどうやって体外に排出されるかを考えてみましょう。便は別に重力の力で下に向かって排出されているわけでもなければ、ところてんのように後ろからきた便によってにょろにょろと押し出されているわけでもありません(もちろんそういった力が皆無というわけではないが)。便の排出は主に腸の運動によってなされます。腸の運動というのは同じ部分が、あるときは山となり、あるときは谷となるというような運動をしています。このような運動をするからこそ、便は順繰りに排出されていくのです。さらに腸壁からは常に粘液が出ており、滑りがよくなっています。そのため、数週間前の便が体内にこびりついたままになるということも、(粘液が出なくなるような病気でもないかぎり)ありえません。つまり常に谷の部分や常に谷の部分があるということも、そこに便がこびりついたままになることも、その体内構造上ありえないのです。よって体内に長時間に渡って便が溜まったり、ましてや「存在しない」谷の部分に便が溜まったりという話が信じるに足りない戯言であることは言うまでもありません。もちろん便秘の場合、体内に便が溜まることはありますが、これは決して腸壁にこびりついているわけではありません。恐らく辞書の宿便の定義はこれのことを指しているのだと思います。
宿便は完全に迷信に過ぎません。よって宿便排出を謳っているダイエット法も明らかに間違っていると指摘することが出来ます。


 

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