2001/12/09
地震、雷・・・の話
地震、雷、火事、親父というのは怖いものとしてかなり有名な言葉ですが、この中で親父だけが浮いています。
前の3つは広域に被害が出ることも死ぬこともありますが、親父では広域に被害が出たり、死ぬこともあまり考えられません。また、火事は人災もありますが、基本的に前の3つは天災であり、親父だけが人災です。そういうわけでランクとしては4番目というのが妥当なのでしょう。もっとも、現在の核家族の中では怖い親父というのは存在しにくく、親父よりもお袋のほうが怖いという話になりそうです。私の親父は、普段は優しい人ですが、怒ったときは本当に怖く、親父を怒らせたら駄目だ、というのが私の心の中には、ありました。そういうわけで親父は怖いものではあったのですが、その話を今回は書こうと思ったところ、実はこれが親父ではなかったことが判明してしまいました。もともとは怖いものは地震、雷、火事、やまじ風だったらしいのです。やまじ風というのは農作物に多大な被害を及ぼす、突風のことで、古語では台風をあらわすこともあったようです。台風と考えるならこの四つは全て天災ですし、広域に被害が発生するものですし、死ぬこともある恐ろしいものという意味が伝わります。地震、雷、火事、やまじ風では語呂が悪いように感じるかも知れませんが、これがもともとは狂歌だったことを忘れていませんでしょうか。「世の中に、怖いものが、四つあり、地震雷、火事親父」では最後が7文字ではなく5文字になってしまい、字足らずすぎになってしまうのです。ここがやまじ風なら56577(二の句が字足らずですが)となり、狂歌として成立するのです。ここからは推測ですが、狂歌ですと長すぎるので、いつのまにかこれの前句が取れ、地震、雷、火事、やまじ風となり、これだと語呂が悪いですから地震、雷、火事、やまじと変わり、それがさらに変化して地震、雷、火事、親父となったのでしょう。
最後の親父が落ちとなっている面白い文句だったのですが、その語源は天災を4つ並べただけでした。語源を調べているとこういうつまらない結果になることもあるようです。


 

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