2001/11/15
同時多発テロの話2
昨日も書いたとおり、今回の事件はテロだ戦争だとはっきりしておらず、大方はテロという見方をしていますが、某国の最高責任者(大統領)は戦争だと言っています。実際のところは明らかに戦争ではなくテロなのですが、この二つの線引きはどうなっているのでしょうか。
「戦争とは一種の強力行為であり、その目的は相手に当方の意志を強要することにある」というのはあまりに有名なクラウゼヴィッツの戦争論ですが、もちろん私はこういう概念レベルでの戦争の定義を行おうというのではありません。この理論だとテロも「政治的目的を実現するために暗殺や暴行などの手段を行使すること」ですから、戦争ということになってしまいます。戦争とは、こういうことを言うと御幣があるかも知れませんが、一種のゲームに過ぎません。ゲームである以上、ルール(戦時国際法)も存在します。そのルールは簡単に述べるなら戦争を起こすことをきちんと延べ(宣戦布告)、戦闘員同士が戦って勝敗を決めるもの、ということになります。これは基本的には格闘技なんかと同じ話で、ちゃんとゴングが鳴ってから殴り合わなければ闇討ちですし、観客を巻き込んだり、レフリーを巻き込めばルール違反です。今回の行為は明らかに「戦争」ではありません。純粋にテロ以外の何者でもありません。上に述べたとおり、第一に宣戦布告がなされていないこと、第二に非戦闘員が狙われたことから、戦争とは言えないからです。戦争かテロかというのは規模の大小に関係はありません。「戦争だ」とのたまわった大統領は何を考えて述べたのか不思議です。世界最大の大国の最高責任者が国際法を知らなかったということもないでしょうに。ただの国民鼓舞のためだとしても言い過ぎです。
実は今回の事件がテロかそれとも戦争かというのはかなり重要です。なぜなら戦争の場合は保険が適用される可能性は皆無(特約事項)ですが、テロなら保険が適用される可能性があるのです(テロが外国の武力行使に入るかは微妙)。実際に被害にあった人のことを考えたら、うかつに戦争などと言うべきではないでしょう。


 

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