2001/10/23
似非科学の話1
私のWebPageの中でも定期的な人気があるのが「ドラえもんの科学」です。あのコンテンツは、私にとっては一種の鬼門のようなもので、一応理系の学科を出ている私の本来の科学者としての立場からはかなりかけ離れたものになっています。もちろん、中にはそれなりに科学的な解釈をほどこしているものもありますが、実際にはほとんどが戯言であり、似非科学と言ってもよいでしょう。一部で誤解されているようですが、あれは読み物として存在するコンテンツであり、私の科学者としての立場を表しているものではありません。
さて、科学と似非科学とは一体どう違うものなのでしょうか。まず科学というものはある事象に対してあらゆる角度から検証を重ね、一つの仮説を打ち立てるところから始まります。この仮説に対して科学者というのはこれまたあらゆる角度から検証を行い、その仮説に誤りがないかを徹底して調べます。こうして数千、数万という科学者が研究し、批判し、推敲してより完璧に近いものに完成させていくのです。科学は全ての事象に対してデータによる証明を要求します。科学に定説はありません。全てが仮説であり、全てが疑うべき事象なのです。こういう批判精神を科学の懐疑主義と言い、科学とは仮説を疑うところから始まるのです。対して似非科学というのは最初のあらゆる角度から検証を重ねるところを無視し、一つの仮定を打ち立て、それに対する検証を怠ります。さらに、都合の悪いところには目をつぶり、都合の良いようにデータを捻じ曲げてしまうのです。例えば幽霊が存在するか、という問いに対して真の科学者の取る姿はどのようなものでしょうか。答えは「証明されていない以上、存在の否定も肯定もできない」となります。証明されていないことを根拠に「存在する」というのはもちろん似非科学なのですが、逆に証明されていないことを根拠に「存在しない」というのもまた似非科学です。
明日に続きます。


 

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