2001/09/11
出版昔話
その昔、Kという出版社がありました。その出版社は社長がワンマンで滅茶苦茶をすることで有名なところでした。その出版社の出している漫画Cの編集部はそのため苦労に苦労を重ね、ある日、クーデターを起こしたのです。それは当時の編集者の八割以上が一斉に作家を引き連れて辞めてしまうというものでした。
その編集者達は冷遇されていたM社の社長の弟を神輿に担ぎあげて社長に据えるという裏技で大義名分を得、Sという出版社の後ろ盾を得てMという編集部を設立しました。そしてS社からCの連載陣を軒並み使った雑誌Dが創刊されました。残された編集部のほうに知り合いがいたのですが、月刊誌の次号の原稿まで持ち出されてしまったそうです。そのため急遽新人作家の作品を掲載するという前代未聞の騒ぎとなりました。結局雑誌Cはすぐに休刊という名前の廃刊に追い込まれました。さて、このKという出版社はワンマン社長が麻薬で捕まってしまい、社長の弟をKの社長にするというわけのわからない采配を取りました。まさか弟が戻るとは思いませんでしたがその弟は厚顔無知にもKという出版社の社長に収まりました。そのためMは担いでいた神輿を失うこととなります。このときに弟と一緒にMを辞めた編集者はKに戻った人間以外、誰一人として他の出版社に就職できなかったといいます。当たり前の話です。どの出版社だって自分の編集部でクーデターを起こして雑誌を廃刊にされたくはないでしょうから。Mは生き残りをかけて他の出版社の刊行物を真似した雑誌を作るという作戦を徹底して取ります。まったくオリジナリティのかけらもないような雑誌を大量に出したわけですが、Mには大義名分がありませんし編集者にも後がありませんから必死さが違います。他の出版社の刊行物を破壊し食いつぶして成長していきました。こうしてKもMも今も残っているわけですが、Mはそういうわけで編集者全員が裏切り者という素晴らしい場所なわけで、なんらかの問題を起こした作家の辿りつく場所ともなっているわけです。
なにか問題を起こしてしまった作家さんはMに行きましょう。きっとなんとかなりますから。


 

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