2001/05/07
緑茶は胃がんに効果なし?の話1
最近、アメリカの医学誌に東北大学の研究発表が載りました。概要を説明しますと対象二万五千人以上のうち、胃がんを発病した四百人余りに対して緑茶の摂取量について調べたところ、特徴的な点はみつからず、また緑茶を一日五杯以上飲む人と一杯以下しか飲まない人の比較においても胃がんの発病に関する違いは見つからなかったとしています。また、紅茶及びコーヒーに関してもまったく関連性がなかったそうです。
さて、以上のニュースをそれ以外の情報なしで統計学的な見地から検証した場合、はたして緑茶は胃がんに効果がないと言い切れるかというのが今回のテーマです。答えを先に言ってしまいますが、この情報だけでは緑茶が胃がんに効果なしとは言いきれません。なぜならこの検査結果ではサンプルが不明だからです。サンプル数なら出てるじゃないかと言われるかも知れません。ですが、統計を求める場合、サンプル数という情報だけでは不足ですし、そのサンプル数も後述しますがデータとして不足があります。上記のニュースでは二つの結果が出ていますのでそれぞれについて別々に検証しましょう。まずは発病した人の緑茶摂取量について述べましょう。この情報における最大の欠如は、なにより重要な分布が出ていないことです。このデータから得られるのはあくまで胃がんを発病した四百人余りの人間の緑茶飲料分布に過ぎません。これが二万五千人の全体サンプルとどの程度分布に差があったのかわからないのです。ちょっとわかりやすく以下のようなモデルを考えましょう。胃がんを発病した人が六百人で、それが飲まない人、一杯、二杯、三杯・・・五杯ときれいにちょうど百人ずついたとします。一方、胃がんを発病しなかった人が四万人いました。それぞれの分布は緑茶を飲まない人が二千人、一杯が四千人、二杯が六千人、三杯が八千人・・・五杯が一万二千人いました。この場合、緑茶と胃がんに関して因果関係がないと言えるでしょうか。
明日に続きます。


 

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