2001/05/08
緑茶は胃がんに効果なし?の話2
昨日の分布例ですと、緑茶と言えないでしょう。むしろ緑茶を飲んでいる人のほうが癌になりにくいと言えます。なぜなら一杯しか飲まない人が二十人に一人がんになっているのに、五杯飲んでいる人は千二百人に一人しかいないことになりますから。
もちろん、こんな極端な分布にはなりませんが、胃がんを発病しなかった人の分布が不明である以上、胃がんと緑茶の因果関係は言えないのです。ただし、この分布はわざと極端にしたため、二つ目の条件である「一日五杯以上飲む人」と「一日一杯以下しか飲まない人」の差に関して満たしていません。ニュースの文面からはわかりませんが、この二つ目の条件が発病した人の数の比較ではなく、発病した人と発病しなかった人の比である可能性もあるからです。しかし、たとえ発病した人と発病しなかった人の比が同じであったとしてもやはり上のニュースだけではデータに欠如がありますので緑茶と胃がんの因果関係は語れません。その欠けているデータとは、それぞれの人数です。二万五千人のうち一体何人が一杯以下しか緑茶を飲まないのか、また逆に五杯以上飲むのか、そのうちの何人が発病したのか。そのデータが不明です。またもや極端な例ですが、例えば発病した四百人のうち一杯以下しか飲まない人が三人、五杯以上飲む人が二人いたとします。発病しなかった人のうち一杯以下しか飲まない人が三千人、五杯以上飲む人が二千人だった場合、たしかに比は同じになりますが、二人や三人というサンプル数は誤差が大きすぎて必ずしも正しい結果とは言えないのです。この四百人というサンプル数は多そうに見えますが、一杯以下しか飲まない人の数や五杯以上飲む人の数によっては実はサンプルとして少なすぎるのです。
もちろん、私は実際の論文を読んだわけではありませんから論文の中では数字まで言及しており、一杯以下しか飲まない人や五杯以上飲む人が誤差範囲を越えるくらい、たとえば百人単位で存在しているのかも知れません。しかし、この記事だけではそれはわかりません。統計のトリックが潜んでいるかも知れないのです。


 

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