2001/02/20
音声多重の話
前にAllInWonderに惚れ込んでそのレビューを書いたことがありますが、あれからビデオキャプチャー技術はずいぶんと進化したようです。各メーカがこぞってビデオキャプチャーカードだのテレビチューナだのといった機械を出しています。さて、そんな中で音声多重に対応していないカードが多いのに気づいた人はどのくらいいますか?音声多重なんて当たり前のような技術なのに、なんで対応しないんだなんて怒った人はいませんか?
音声多重が始まったのは1982年のことです。この音声多重というのはステレオ放送とか二カ国語放送なんかを鳴らしたりする仕組みなのですが、細かい説明をする前に用語として振幅変調と周波数変調をおさえておきましょう。振幅変調というのは簡単に言うと波の高さを変えることで、周波数変調というのは波の間隔を変えるものです。これを踏まえて説明しますと主信号の上位帯域に差信号を重ね、さらにその上位帯域に制御信号を振幅変調形式で重ね、これらをまとめて周波数変調したものを音声とします。わかりましたか?やっぱりわかりませんか、ようするに本来の主音声とは別の場所にデータを置いているのでモノラルしか出なくても大丈夫、と考えてください。問題は、この音声多重方式が日本独自の形式だということです。アメリカではMTSというまったく別の方式を使っていますし、イギリスではNICAMという、これまたまったく別の方式を使っています。よって日本の音声多重方式に対応したとしてもその製品のマーケットは日本国内だけということになります。いくら日本がコンピュータ関連市場として大きいといっても、わざわざそのために日本の音声多重方式に対応した回路を作成し、それを搭載し、日本国内でしかできないテストを行うという手間をかけるメーカが少ないというのも仕方が無いでしょう。
根本的な問題は、色々と言い分はあるでしょうが他国と互換性の取れない独自の方式を作ってしまったところにあります。ですから秋葉原で店員を捕まえて、なんでステレオに対応していないんだ、なんて息まないでくださいね。


 

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