2000/08/14
チャイルドシートの話
チャイルドシートが義務づけられてからだいぶ経ちましたが、未だにチャイルドシートをつけていない人を見かけます。かく言う私は、自分で車を持っていません。それでも、もう少し経って子供を車に乗せてドライブに行くようになったらチャイルドシートを買うつもりです。ところで、私はチャイルドシートの義務化自体には賛成なのですが、このときによく言われる致死率1/4という数字に対しては非常に懐疑的です。この手の「具体的な数字」には大抵は統計学的なトリックが用いられるからです。
まず、この数字がどこから出てくるのか考えてみましょう。考えられるのは衝突実験による統計データと実際の事故を基にした統計データです。前者に関しては、人形を用いた実験で果たしてきちんとしたデータが求まるのかという疑問が常々ありました。優位性があることは証明できても、それが何倍だといった数字はかなり偶然や人形の配置された位置などで変わってくるはずです。また、物理的な要因での死亡以外に心理的な要因での死亡(ショック死)でのデータまで取れるとは思えません。後者を用いているのでしたらまさしく統計的なトリックです。まず、海外のデータを基にしたのであれば、国内と海外の車事情の違いを考慮しておらず、まったく根拠のないデータとなります。日本では高速での衝突事故というのはほとんどありません。何せカーブが多くてスピードを出したくても出せませんし、制限速度も違いすぎます。では、国内データとなるとそれこそ子供を載せて事故にあったというまれなケースからさらに義務化前にチャイルドシートを搭載していたという非常にまれなケースを抽出することになり、統計的な意味を持ちえる数になるとは到底思えません。おまけに義務化前にチャイルドシートを搭載するようなドライバなら運転にも注意を払っていたはずで、ドライバの質の違いというのも考慮されていません。
恐らくチャイルドシートをつけたほうが安全だ、というだけでは具体的な証拠を、と言われるので1/4という数字を出したのだと思いますが、かえって信憑性を疑われるのでは逆効果ですね。でも、日本にはこれで騙されてしまう「善良な」人達が多いからなぁ。


 

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