2000/02/17
グルアガッホの話
その昔、重婚多発コンピュータRPGとして知られたシステムソフトのティルナノーグというファンタジーRPGがありました(エンディングでその後そのキャラクターがどうなったかを表示するんですが、登場した女性のうちの複数人と結婚するんですよ、そのキャラクター。しかもかなり手当たり次第に)。その中にグルアガッホというのが出てくるのですが、これが日本では、どマイナーな妖精なんですね。しかし、本当は比較的メジャーな妖精なんです。こいつもまたちょっと説教がかった設定を持っています。本来はグルアガッホはその行動形態によって3種にわけられるのですが、そのうちの2つに共通する特徴として書いておきます。
この妖精は、大抵は雨の日なんですが、美しい女性の姿で現れ、一晩泊めてください、なんて言ってきます。ここで泊めてあげると今まで乳の出が悪かった牛の乳が突然出るようになったり、麦が豊作になったり、良いことが起こります。逆に泊めてあげないと牛の乳が出なくなったり日照りが続いたりとろくなことになりません。旅人には親切にしましょう的な話なんです。この伝承を伝えたのが、恐らく吟遊詩人のような旅人だったので「泊めないと悪いことが起こるんだよ」という話を流布させる意味があったのではないかと思います。それにしてもちょっと考えるとずいぶんと意地悪な妖精です。まあ、泊めてくれれば親切にしてくれるというのはいいんですが、泊めてくれないからって不幸にすることはないでしょう、その家庭にだって事情ってもんがあるでしょうから。泊めたくても泊められないことだってあると思うんですが、それでも不幸はやってくる。
まあ、グルアガッホに限らず、基本的には妖精には親切にしてあげるとなんらかの見かえりがあるようでして、例えばエルフが人間のパーティに来た話なんかでは、エルフの尻尾(ロバの尻尾だそうです。知ってました?エルフの尻尾はろばの尻尾ぉぉ)が見えているのに気づいたある青年が「お嬢さん、ガーターベルトが外れているよ」と間接的に教えてあげたんですね。その機転のおかげでエルフの祝福を受けたその青年は一生幸福に過ごしたそうです。


 

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