2002/10/16
シリアルの話2
続きです。
パラレル道路では、どれか一台でも車が遅れたら、その車に合わせてゴールしなければなりません。それでも車の速度が遅いうちは調整が効きますが、速度が速くなったら同時にゴールすることは、どんどん難しくなっていきます。これがパラレルバスの同期問題です。パラレルバスは複数経路から来たデータに対して同期を取らなければなりませんが、これがかなりシビアであり、特にクロックが速くなると同期を取るのが不可能になってきます。必然的に速度限界が発生するわけです。一方、シリアルバスは同期を取る必要はありませんから、一台の車がどれだけ速く走っても構わないわけです。パラレルバスのシビアさというのはケーブル長という点に良く現れています。一般にパラレルバスのケーブルは短いのですが、これはケーブルが長いとお互いの線同士で干渉してしまったり、データ線での伝送速度に違いが発生し易くなるためです。そういうわけでパラレルケーブルは(一般的に)値段が高くなりがちでもあります。装置も大掛かりになります。一方、シリアルケーブルは線同士の干渉や伝送速度の違いなどありえないので長めにすることができますし、(一般的に)値段が安く、細くできます(実はこれが結構重要。CPUが高熱を出すようになれば、ケース内の空流を考えなければならないが、シリアルケーブルは細くすることができるので、パラレルケーブルほど邪魔にならない)。コスト面といえば、シリアルケーブルは低電力化しやすいというメリットも持っているようです。
さて、この流れ、どこかで聞いたような気がしませんか?その昔、CPUが多機能高性能で肥大化したとき、命令を単純化して、その代わりに速度を数倍にしたほうが良い、という思想があったのを覚えていますか?そう、SISCとRISCという話です。バスのシリアル化という流れは、SISCの塊であったパソコンを、RISCの塊に直そうという試みと考えると判り易いかも知れません。とは言えど、CPUだけは何時までもSISCなんですが・・・。


 

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