2002/05/25
TBHQの話
使用を許可されていない抗酸化剤のTBHQ(tert-buthyl-hydrooxy-quinone)を使用した問題で世の中が騒いでいます。これを第二の雪印事件だと述べる人も居ますが、今回の事件と雪印事件とでは決定的な違いがあります。それはTBHQの毒性については現時点では認められていないという点です。
そもそもTBHQは日本以外の国、例えば欧米では使用が認められており、WHOも最近になって毒性非検知ということで暫定ADI(Acceptable Daily Intake:許容一日摂取量のこと。毎日摂取しても一生影響がないと想定される体重1Kgあたりの最大値)を0.2mgから0.7mgに増大させたばかりです。これはTBHQの発癌性に関する情報が180度変わったためです。ちょっと説明しますとTBHQは容易にTBQ(Tert-Butilated-Quinone)となりますが、TBQには遺伝子傷害性があると言われており、またTBHQがTBQに変わる際に活性酸素が生成されるため発癌力が高いと言われていました。ですが、たしかに活性酸素は出るのですが生成されるTBQ量は極めて少なく、また実はTBQ自体をラット投与しても発癌しないことがわかってきたのです。つまりTBHQは活性酸素を生成するけれど、発癌物質に変わるわけではないということです(むしろ抗癌作用があると指摘する研究もある)。ただし、手放しでは喜べません。BHA(Butylated-Hydroxy-Anisole)という環境ホルモンがあるのですが、これが最終的にはTBHQになることからTBHQも環境ホルモンではないかと疑われているからです(現時点では、その可能性も低い)。もっとも、厚生労働省がTBHQを認可していないのは環境ホルモンの可能性を疑っているわけではなく、ただ単に今までTBHQの認可を要求されなかったからのようです。諸外国もこれにクレームをつけなかったのは日本に食品を持ち込むのにわざわざ毒性の弱いTBHQなんか使わなくても、自国では使えないような強力な抗酸化剤が認可されまくってるからなんですがね。
誤解の無いように書いておきますが、私が言いたいのはTBHQには罪がないということです。ダスキン社の誤魔化しは強く非難されるべきなのは言うまでもありません。


 

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