2002/05/10
口蹄疫の話2
続きです。
予防ワクチンは存在しますが、それが使われることは、ほとんどありません。その理由を説明します。まず、口蹄疫のウィルスはいわゆるRNAウィルスです。酸やアルカリに非常に弱いという特徴を持っています。また、口蹄疫ウィルスと一口に言っても、実はこれには7種類もあります。O型とA型とC型とアジア1型、北アフリカ1、2、3型です。B型が無いのが不思議ですが、もともとはフランスO型とドイツA型が発見され、O型をB型にしようということで、次に発見されたのをC型にしたところ、結局O型がO型のままになってしまった、というよくわからない経緯があります。この7種類の型は、さらに数十種類の亜型に分けられます。そして、それぞれの型によって、使用できるワクチンが異なります。口蹄疫の対策は、予防摂取か殺処分しかありません。しかし、口蹄疫のワクチンは上で述べたように7種類の血清型にぴったり一致しないと、全く効果がありませんし、たとえ血清型に一致していても、亜型が離れすぎていると、やはり効きません。また、ワクチンの効かないタイプの口蹄疫ウィルスが誕生することもあります。ほとんどインフルエンザのようなものです。また、ワクチンを射った動物であっても、まれに感染する例があり、この場合は症状は出ないくせに他の動物に感染だけはさせるという、非常に困った状態になります。さらに、確率的にはワクチンそのものがウィルスとなってしまうことがあり、実際にそのような事故がヨーロッパで発生しています(そのためヨーロッパでは、ワクチンは全面禁止措置となっている)。また、ワクチンを摂取してしまうと血清調査の際に陽性反応が出てしまい、本当に口蹄疫にかかっているのか、それともワクチンのせいなのかが区別できなくなるという問題があります。このことは、口蹄疫に対する安全宣言が出せないというジレンマを生みます。そのため、ワクチンは廃れ、今は殺処分が主流なのです。
続きます。


 

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