2002/04/05
近視の話2
続きです。
さらに、昨年の5月、今度はイギリスの眼科学会が調査したデータが公開されました。これは一卵性双生児だけを調べることで遺伝による要因率を調査・特定するという「ツイン・リサーチ」によるもの(私の記憶では、日本では北里大学が力を入れている調査法)です。500組の一卵性双生児の調査の結果、近視と遠視の遺伝要因率は85%、乱視も50%というデータを出しました。これは、世界の主流の「近視の原因は大部分が遺伝的なものである」ということを追証明した結果となりました。すなわち日本の一部の眼科医「だけ」が唱えている「近視の原因に遺伝的要素は5%程度しかなく、環境的要素が大部分」という誤った考えを打ち破る研究結果です(さすが「学会発表に一切の審査のいらない」日本医学会。これだけ明確な証拠を突きつけられても、それを無視して世界の潮流から見事にはみ出ている。もちろんアメリカを含めたほとんどの国の学会発表は「事前審査」を通すことが必要)。結論として近視の原因は「遺伝による影響が極めて大きく、環境によって多少の影響を受けて発生したりしなかったりする」といえるでしょう。つまり、身長や手足の大きさのように持って生まれた素質に過ぎないということです。では、何故日本では環境による影響が大きいという偏見を、一般人も一部の医者(強調するが、日本でも特に若い医者を中心にほとんどの医者は近視に対して遺伝的要素が高いことを認めている。そして困ったことに認めていない極一部が日本での権威だったりするだけ)も盲信しているのでしょうか。実はこれには理由があるようです。昭和14年。当時の日本は富国強兵の真っ只中にあり、徴兵検査の際に裸眼視力が低いと、兵隊として不適格とされました(眼鏡をかけて戦争ができるか!というわけだ)。そして近視の者には「非国民」のレッテルが張られました。しかし、近視者の数は減りません。そこで当時のいい加減な医学的知識を元に、ある法律を定めました。「近視予防法」です。
続きます。


 

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