2002/01/12
ノーワックス果物の話2
続きです。
もしかするとミツロウのほうに問題があるのかも知れません。ミツロウはこれまた口紅などに使用されていますが、もともとはろうそくの原料で、ミツバチの巣から作る物質です。チョコレートに使われる光沢剤もこのミツロウです。また、登山用のろうそくはこのミツロウを使います。遭難時に食べても安全だからです。いや、安全じゃないんですよね、果物のワックスは。失言でした。敢えて言うなら、ワックスが危険なのではなく、ワックスと共に塗られている農薬が危険なのでしょう。しかし、それではノーワックスだから安心、ということにはなりません。例えば国産果物は果物をもぐ前に使用される農薬に基準がほとんどありません(もいだ後に使う量の基準はあるし、明示義務もある)。では、実際にどんな農薬が使われているのかというのを調べてみると、殺虫剤としてクロルピリホス、除草剤として2,4−D、防カビ殺菌剤としてイマザリルなどが使われているようです。このうちのクロルピリホスに関しては有害性が認められ、2000年に米国で全面禁止がなされました。ちなみに日本では、リンゴや梨などの殺虫剤として使用されており、またゴルフ場の殺虫剤の主成分です。家庭用殺虫剤にも使われていますし、防虫畳にも使われています。慢性摂取安全基準は体重1kgあたりで1日0.03mgです。日本での輸入果物に対する検出量は1998年のデータですが、レモン1個当たり最大で0.01ppmだったという資料(都立衛生研究所資料)があります。これは100gのレモンに対して上記の慢性安全基準値に比較して30分の1の量に過ぎません。ようするに体重50Kgの人がレモンを150kgほど洗わず(水洗いするとワックス入りでも30%程度除去されてしまうため)に丸かじりし続けると危ないということですね。実に危険なことです。2,4−Dは、あの有名な、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸ですね。環境ホルモンの疑いの高い物質です。吸入すれば毒性も高いです、吸入すれば。
続きます。


 

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