2002/01/09
ファンタジー小説の話1
最近ちょっと思ったことなのですが、ファンタジーというのは一体なんなんでしょう。SFとはサイエンスフィクション、翻訳すると科学空想物語となります。ファンタジー小説もこの科学空想物語に分類されています。何故でしょう。
このこと自体は歴史を考えればおかしいことではありません。例えば初歩の科学は錬金術という魔術から発生していますし、宗教というものが最新科学だった時期があるからです。つまり、今では非科学的であるとされているものが、昔は最新科学だったわけです。その名残がこれらをSFというジャンルに括る大きな理由になっているのでしょう。しかし、仮想の世界を扱うファンタジーをSFにひっくるめた理由としては弱すぎます。この理由について、私はこう考えています。時代が進むと、ノンフィクションとフィクションという二大勢力が誕生します。これらのジャンルのうち、ノンフィクションは現実の世界を舞台に、フィクションは現実ではなくても現実に近い世界を舞台に、現代や過去や未来を扱ってきました。しかし、これらの枠組から外れるジャンルもあり、それは現実からあまりにかけ離れた世界を扱うファンタジーというジャンルでした。そこでこれを以前からあったSFという分類を拡張しそこに放りこむことで区別しました。これがファンタジーがSFに分類される大きな理由ではないでしょうか。実際、ファンタジーと呼ばれている小説はそのほとんどが異種族なら宇宙人、魔法なら超科学、世界は別の星と置きかえることで強引にSF化することが出来ます。ファンタジーとはその根本にSFと非常に近いものを持っているのです。では、SFの1ジャンルに過ぎないものが、何故わざわざファンタジーという特殊な呼び方を持つに至ったのでしょうか。SFというのは本来は逃げの手法ではありませんでした。ここでいう逃げの手法とは、現実としてやろうとしてもどうしても穴や矛盾が発生するような状況に対して、超科学という逃げを打つことによって現実から逃避してしまう手法のことを指しています。
続きます。


 

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