2002/01/03
イスラムの話2
続きです。
初めての啓示は何者かが現れて、文字の書かれた紙を指差して、「コラ、コラ」といったというものでした。これは「誦め(声をだしてうたうように読む)」という意味です。しかし、マホメット自身は実は文盲だったらしく、「誦めない!」と答えています。すると、この何者かはマホメットの首を締めながら「さっさと誦め」と(さすがに意訳過ぎるか?)・・・。そこで苦しくなったマホメットが口を開くと、なぜかすらすらと詠唱できたのです。これを見た何者かは満足げに去っていきます。このときに登場したのは大天使ガブリエルだったと言われています。何故、キリスト教の大天使ガブリエルが?と思うかもしれませんので、ここでちょっとユダヤ教とキリスト教、そしてイスラムの関係について説明します。この三つの宗教は、実は根っこは同じなのです。全て旧約聖書がもとになっているのです。そして、ユダヤ教はこの旧約聖書だけを認め、新約聖書(キリスト教の教典)とコーラン(イスラムの教典)を認めていません。キリスト教は旧約と新約の各聖書を認め、コーランを認めていません。イスラムはこの三つの教典の全てを認めています。これは神の啓示を伝えるものである預言者の関係でもあります。アダムからアブラハムまでの預言者を認めるのがユダヤ教、イエス=キリストまで認めるのがキリスト教、さらにマホメットも預言者として認めるのがイスラムです。さて、この最初の啓示に関して、清水義範という作家が非常に面白い見解を出しています。それは「神々の午睡」という本の中にあるのですが、それを参考に私なりの解釈を加えた説を出します。当時のアラブ社会は、他国からの侵略を受けつつある状況でした。このまま一致団結せずにばらばらに戦っていれば、いつかアラブ社会は滅んでしまうという危機感を持ったマホメットが、アラブ民族同士の争いを食いとめ、他国の侵略に立ち向かおうと考えた結果、神の啓示を受けるに至ったのではないか、と。
続きます。


 

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