2001/12/03
蜂の話
最も嫌いな生き物は?と聞かれたら、私は迷わずに蜂、と答えます。実際、どのくらい苦手なのかというと、たとえば大学時代に試験があったのですが、たまたま教室にスズメバチが迷い込んだのです。スズメバチは監督官の漫画雑誌の餌食となったのですが、たったそれだけで私はパニック状態に陥り、試験に対して解答不能となったのです。
これは私にとっては生理的な恐怖というか、説明のつかない非科学的な嫌悪だったため、そのこと事態が非常に嫌だったのですが、最近になって理由がわかりました。私の蜂嫌いというのは一種のトラウマだったのです。実は私が物心つく前に、ハアリに似た蜂に刺されたことがあり、当時はおとなしかった私が、そのときだけは火のついたように泣いたそうです。それから数年経って、同じように物心つく前に同じ蜂に刺されるという事態になり、これは免疫学的に危険な状態(ショックを起こす可能性がある)でしたから、緊急態勢に入ることとなりました。もっとも、このころ既に免疫が不完全だった私は過剰免疫に陥ることもなく、何事もありませんでしたが。それから数年経って、私が物心ついてから、またもや同じ蜂に刺されるという、因縁としか思えないようなことが起きたのです。もちろん、このときも私の体には(痛い以外には)何も起こりませんでした。しかし、私自身はただ蜂に刺された、というだけのことだったのですが、周りの大人たち(特に両親)の慌て振りから、これはとても危険なことなのだ、という意識が植えこまれたようです。このことが私に対して、蜂に刺される=周りの大人たちが大慌てする危険なことという数式を作らせることとなり、私は蜂というものに対して極めて強い恐怖感を持つようになったようです。
実はこうして理由がわかってみたあとは、前ほど蜂に対する恐怖感は持たなくなりました。どうも理由無き恐怖ということ自体に対して恐怖を起こしていたところがあったようです。何か生理的な恐怖症を持っている人は私のようにその理由を探ってみるとよいかもしれません。


 

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