2001/11/01
海綿状脳症とプリオンの話1
狂牛病にかかった牛の異常プリオンが人体に入ると非定型クロイツフェルトヤコブ病になる、というのは当たり前のように言われていますが、本当でしょうか。
意外なように思うかも知れませんが、非定型クロイツフェルトヤコブ病を引き起こす異常なプリオンが体内に入れば非定型クロイツフェルトヤコブ病になる、というのはよくわかりますが、非定型クロイツフェルトヤコブ病を起こす異常プリオンが狂牛病の原因となる異常プリオンと同じであることは実はまだ証明されていません。そんな馬鹿な、と思うかも知れませんが、困ったことに本当です。一応、一部は証明されています。例えば非定型クロイツフェルトヤコブ病の異常プリオンと狂牛病の異常プリオンの分子構造を比較したところ非常に似ていること(一致していないことに注意!)がわかっています。また、牛に似せたトランスジェニックマウス(特定な動物に似せた遺伝子操作を行ったマウス)に狂牛病の異常プリオンを植えたマウスと人に似せたトランスジェニックマウスに非定型クロイツフェルトヤコブ病の異常プリオンを植えたマウスはどちらも発病しますが、同じ症状を示しました。さらに、牛に似せたトランスジェニックマウスに非定型クロイツフェルトヤコブ病の異常プリオンを植えたマウスが発病しています。しかし、もっとも肝心な、人に似せたトランスジェニックマウスに狂牛病の異常プリオンを植える実験はことごとく失敗しました。そして、現在に至っても一件の成功例もないのです。つまり人の異常プリオンが牛に影響を与えることは証明されていても牛の異常プリオンが人に影響を与えることが証明できていないのです。また、ここからは私見ですが、イギリスでの非定型クロイツフェルトヤコブ病の発病数があまりに少ないというのも気になります。7年かけてたった100人ですよ。最初に狂牛病が見つかってから15年、肉骨粉を禁止してから3年。12年間も食いつづけてたった100人。もともとのスクレイピーに至ってはそれよりも遥かに長い歴史を持つにも関わらずたった100人。どう考えても少なすぎます。
続きます。


 

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