2001/10/26
出産と満月の話2
昨日の続きです。
出産を妊娠(着床)の時点から考慮すると生理に行き着き、その生理の周期は月の周期と異なることを書きました。しかし、ずれがあるのは妊娠から出産までの時間である十月十日もそうです。出産日なんて平気で二週間ぐらいずれます。その間に満月に調整される可能性はあります。よって生理から逆算する方法はおかしい、という反論が出てきそうです。なるほど、確かにそのとおりです。では本当に満月に出産が多いのか、調べてみますと確かに満月が特異日と言ってよく、統計上の誤差範囲ではありますが、満月の日の出産数は多くなっています。ところがこれを週間の出産数で調べてみると、実は週単位で見たときの出産数は大して変わっていないことがわかります。つまり満月のあった週と満月がなかった週とを比較するとトータルの出産数が変わるわけではないということなのです。その理由は簡単。満月前後の出産数が極端に減っているからです。これは何を意味しているのでしょうか。私はこれは心理的な要因によるものと見ています。つまり「満月の夜は出産が多い」という迷信(と断定してもいいでしょう)を信じ込むことによって、このような迷信のない地方では普通に生まれていたであろう満月前後の子供が、満月に集中して産まれるようになったということです。心理的な要因としては、満月前に満月に産もうとすることで産まれず、また満月の日にはこの日に産まなければならないと緊張することで陣痛を起こすということは充分に考えられることです。満月なんか気にしてるのかというかも知れませんが、切迫早産で入院していた患者の間の話題というのは「次の満月はいつか」であるというのは実体験上の事実です。
この「迷信を信じることで満月の出産が多くなってしまう」という説は根拠がないわけではなく、これを裏付けるデータもあるのです。満月に出産が多いというデータをノルウェーの学者が調査した結果、まったく差異がなかったということが判明しました。ちなみに、ノルウェーには「満月に出産が多いという迷信」が存在しません。


 

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