2001/08/25
台風の話2
昨日の続きです。
誕生したての台風はまだ中心部の風速が速くありませんから熱帯低気圧にすぎません。この熱帯低気圧が台風と呼ばれるようになるためには、中心部の最大風速が秒速約17メートル(風力で8という数値)になる必要があります。台風は誕生してから海面を移動している間に海上の水蒸気をエネルギー源としてさらに発達していきます。こうして育った平均的な台風の持つエネルギーは広島型原爆の10万倍以上になると言われています。出来立ての台風は進行方向や速度が不安定で、うろちょろしています。とはいえ基本的には地球の自転の影響で極点に向かいます。また、台風の移動は上空の風によって決まりますので北半球の場合、低緯度では西向きに風が吹いているので西に流されながら北上しますし、緯度が高くなると東向きに吹く風(偏西風)の影響で、東に流されながら北上します。この東向きに吹く風はかなり速いため、台風の進行速度も緯度が高くなるにつれて速くなります。台風は無限に発達するわけではありません。ある程度発達すると水蒸気から供給されるエネルギーと水面との摩擦によって失うエネルギーが等しくなります。そのため、段々と拡散していくことになります。つまり大きさは広がりますが、逆に強さは遅くなっていくわけです。また、北半球では当然北に向かうほど気温が下がりますから海面にいても水蒸気の量そのものが減り、エネルギーを失います。特に上陸した台風は水蒸気からエネルギーが得られなくなり、陸地との摩擦でエネルギーを失う一方となるため、急激にエネルギーを失います。こうして減衰した台風は中心速度が落ちて熱帯低気圧に格下げになる道を選ぶが、もしくは冷やされすぎて前線(寒気と暖気の境)を持つ温帯低気圧になる道を選ぶことになります。今回の台風は上陸してからずっと陸路を進んだためあっという間にエネルギーを失って温帯低気圧になってしまったわけです。とはいえ、このように異常なほどエネルギーを失うことは珍しいことです。
明日は台風の強さと速さについて書いて台風の話を締めくくりたいと思います。


 

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