2001/08/14
語源の話6
さて、今回のテーブルトークは今までとは違い、小話集のような感じになっていますが、これはテーブルトークとして一本の話しにしたいのですが、一本にするには短く、ずるずると一本分に引き伸ばして書いても仕方ないというちょっとした話しが溜まったのでまとめて書いてしまおうという理由で始めたからです。というわけで、昨日の続きです。
「頭隠して尻隠さず」ということわざがありますが、ここで尻を隠さないのはなんでしょうか。これは雉のことを表しています。雉は尾が非常に長いため、草の中に頭を隠したつもりでも尾が見えたままになってしまいます。そこで「頭隠して尻隠さず」という言葉が生まれたようです。ちなみに英語にも同じような表現があります。「act like an ostrich」というもので、日本語に直訳すると「まるでダチョウのようだ」となりますが、これはダチョウは危険が迫ると砂の中に頭だけを突っ込んで隠れたつもりになるということから来ています。同じように何のことをさしているのかよくわからない言葉として、「閑古鳥が鳴く」という言葉があります。結論から言うと閑古鳥とは「カッコウ」という鳥のことです。もう少し詳しく説明しますと、カッコウは昔から鳴き声と名前が一致している鳥であり、その鳴き声は時代によって聞こえ方が変わり、それに応じて名前も変わっているのです。例えば奈良時代は鳴き声が「カツポー」「カツフオー」と聞こえたため「カホドリ」と呼んでいました。これが平安時代に入ると「フワッコー」と聞こえたらしく、「ハコドリ」と呼ぶようになり、平安末期にはこれは「カンコー」と聞こえたために「閑古鳥」と呼んでいたのです。この鳥は昔から寂しいことの代名詞でしたが、その理由が通常の鳥が夜明けから午前中にかけて鳴くのに対してカッコウは夕方から夜にかけても鳴く鳥だからといわれています。そのため、この鳥は「冥土鳥」というちょっと怖い別名も持っています。ですから閑古鳥が鳴くというのは死にかけている状態を表すようになったのです。
明日に続きます。


 

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