2001/07/08
エコナの話
花王から健康エコナという植物性の食用油が発売されてだいぶ経ちましたが、あれの売り文句は脂肪がつきにくいというもので、ダイエット効果があるとかそんな話でした。私はてっきりダイエットシュガーのように体に消化できない成分で作られていて消化不良から便通が良くなってダイエット、と単純に考えていましたが、こないだ健康エコナのシーチキンなるものを台所で見つけたのでちょっと気になって調べてみました。その結果、私の考えが明らかに間違っていましたので、お詫びと訂正の意味もかねてテーブルトークにまとめます。
この製品、消化しないどころかきちんと消化されます。この商品の最大の特徴はジアシルグリセロール(アシル基が二つとアルキル基がついたグリセリン?)という成分を大量(80%)に含んでいることです。このジアシルグリセロールなる物質は腸内で普通の油と同じように吸収されます。通常の油はトリアシルグリセロール(アシル基が三つとアルキル基がついたグリセリン?)という物質が主成分(少量ながら時アシルグリセロールも含まれる)なのですが、これは体内に吸収された後、持続性の高いエネルギーとして消費されます。そして残った分は中性脂肪という形で体内に流入し、肝臓などの内臓に蓄積され、これが肥満の原因となります。ところが、ジアシルグリセロールは吸収後、体内で中性脂肪に再構築されにくい物質なので、肝臓内に入った時点で分解されてしまうのです。この製品には思わぬ副作用というか、効果として胃から排出されやすいという効果があり、胃もたれも防げるらしいです。そもそも健康エコナは本来は口溶けの良いチョコレートを作ろうとして試行錯誤したところ、消化の良い油ができたのでねずみに投与したら体内脂肪が少なくなり、さらに研究した結果、そちらの効果のほうが注目され、ついに商品化という通常とは逆のプロセスを辿って誕生した食品なのです。
食用油とはまったく関係のないメーカーである花王が作り出したのにはこんなところに理由があったんですね。


 

Topへ