2001/05/01
ハムラビ法典の話
ずいぶん前にTRPGをしているときにハムラビ法典の話が出たことがあって、このときにS氏から話を聞いたんですが、なにせS氏の話ですからどうせ嘘だろうと思って放っておいたことがあります。最近、別件で調べていたところ、たしかに彼の話の一部は嘘だったのですが、かなり真実に近いこともありましたので、ちょっと書きたいと思います。
ハムラビ法典というと「目には目を歯には歯を」で有名ですが、この文言、こう思っていませんか?「やられたらやりかえせ」。間違ってはいません。もちろんそういう意味ではあるのですが、実はハムラビ法典のこの文言の本来の意味というか目的とは微妙なニュアンスの違いがあります。この解釈ですとやられたのに黙っているな、という意味合いが強く感じられます。当時の中東というのは、たくさんの氏族が族単位でてんでばらばらに国のようなものを作って争っていたわけです。で、中東のこの手の氏族ってのは滅法強いんですね。だから氏族同士が団結すればよその国なんか絶対太刀打ちできないくらい優秀な戦闘民族だったのです。ところが、彼らは仲間同士で殺しあってしまうわけです。氏族の誰か一人が殺されたとなると、相手の村を襲って皆殺しにしてしまう。隣の家の奴の肩がぶつかったと言って相手を切り殺してしまい、切り殺された側の家族が切り殺した側の家族を皆殺し。皆殺しされた側の友人が今度は皆殺し返し。そのまた・・・という皆殺しエンドレス状態に陥ったわけです。まあ、そうやって数が多少減っても何せ多産ですから問題はなかったのですが、隣国が攻めてくるとかなり困ることになるんですね。恨み辛みが残ったままで団結して戦うというのは非常に難しいでしょう。そこで、一人殺されたら一人殺してちゃらにして後は恨みっこなしよ、というようなルールが必要になったわけです。。それでハムラビ法典ができました。
本来の目的は「やられてもやりかえしすぎるな」だったのです。ハムラビ法典は「目には目と歯を」のように過剰な反撃を禁止するための法典なのです。


 

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