2001/03/19
商業なら自由?の話
私が同人で小説を書いていた頃、ちょうど銀河英雄伝説という小説が爆発的な人気を得ていました。そのため、SF同人で何か書いてくれと頼まれたときは、とりあえず「無能な上官が招いた危機を優秀な部下がフォローする」というネタだけで十本くらい書いた記憶があります。それだけでそこそこの評判が取れたのです。引退宣言をした以上、私はあの世界に復活する気は毛頭ありませんが、もし今同じことをしようとしたら、銀河英雄伝説のような「楽な」ネタは転がっているのでしょうか。
同人界のさる人が吐いた「商業デビューしたのでこれからは自由に書けます」という台詞があります。結局その後泣かず飛ばずで消えてしまったのですが、当然といえば当然ですね。たしかに同人で書く場合、どうしてもそれなりの評判が欲しくて、また編集もそれを望むため、独自性より売れ線で書くしかないんです。ところが商業の世界では独自性が尊ばれますから、ある程度自由に書けると思ったのでしょう。売れなきゃ本人の責任ですし。しかし、ある新人賞のコメントに「どれもこれも似たりよったり」というのがありましたが、実際、最終選考に残れるような作品は独自性よりも売れ筋の作品なのです。商業の世界でも残るのは売れ筋で、独自性の強い作品は売れずに淘汰されるというシビアな世界があります。ですから最終選考に行く前に売れなさそうな独自性の高い作品は振り落とされてしまうんですね。ですから最近の傾向はどうなのか、どんな本が売れるのかというのは大御所と呼ばれている人以外はみんなリサーチし自分の作品に取り入れて生き残りをはからざるを得ないのです。ところが、現在はかなり趣味が多様化しており、色々な分野で色々な本が登場しそれぞれに読者がついたりつかなかったりしているようです。商業の世界でも独自性というものを読者が評価するようになったのでしょうか。
そういうわけで、改めて最近の売れ筋の本を数冊買って読んでみました。たしかにジャンルも内容も多種多様です。と思ったら・・・。なーんだ、容姿、性格の異なる複数の女の子を主人公にするだけで売れるんじゃない。しょうがないなぁ。


 

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