2001/03/11
SCSIはレガシーの話2
昨日の続きです。
SCSIがどのくらい複雑なのか。私が知っている限り、SCSIには1、2、Ultra、WU、U2、U2W、U160という規格があります。まだあるかも知れません。そしてそれぞれの規格ごとに1.5メートル、3メートル、6メートル、12メートルという最大ケーブル長が定められています。SCSI機器によって使用できるケーブル形状も異なります。アンフェノールだDSUBだ(これはとんでもないことに別の呼び方をすることもあります)、68pinだ50pinだ25pinだ、とかなり大変です。それを全て覚えて使いこなせる人間なんてこの世に本当に存在するのでしょうか。そりゃハードウェアアドミニストレータとかヘビーユーザなら苦痛とは思わないでしょうが、普通の人だったらこんな大変なことを覚えずにもっと簡単なIDEやUSBに流れます。これは当たり前の話です。さらにSCSIには相性問題というのまでついてくるのです。これは実際に私が最近体験したことなのですが、U2Wの二つのSCSI外付けボックスをショートのケーブルとロングのケーブルを繋ぐ、という作業をしていました。一つのボックスには四つの機器が、もう一つのボックスには一つの機器が入っていました。ボックスとケーブルの組合わせは四通りですが、まともに動作する組み合わせはホストアダプタに近い順から、ショートケーブル、四つ入ったボックス、ロングケーブル、一つ入ったボックスのたった一通り。それ以外の組合わせではホストアダプタに認識されなかったり、Windowsが起動中にハングアップしたりという現象を起こして正常に動作しませんでした。おまけにこの内部の五つの機器も順番と組み合わせによっては動作しないこともありました。しかし、これはSCSIの世界では当たり前、FAQなのです。
人は誰でも、複雑怪奇なものよりは簡単に使えるものを望みます。複雑なほうがほんの少し性能が高いとわかっていても性能が低い簡単なものを選びます(オートフォーカスのカメラ、オートマ車。幾らでも例が挙がります)。SCSIは性能のために使い勝手を無視する方向に進化しました。その結果、高性能で高価で敷居が高いという3Kを持ち、レガシーとなっていったのです。


 

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