2000/09/13
私的マスタ列伝4
最後に紹介するのはあおい氏です。氏のマスタ経験はこの中ではもっとも若く、いわゆるコンピュータRPG世代やゲームブック世代のさらに後になります。氏のマスタリングは私とS氏のちょうど中間に位置するのではないかと思います。
氏はショートキャンペーンシナリオしかマスタリングしません。単発などはできないのです。何故なら氏のシナリオは初めから破綻しているように見えるからです。プレイヤは氏のシナリオに放り込まれると何を行っていいのかわからないまま手探りでシナリオの流れを掴まなければなりません。ところどころに伏線らしきものはあるのですが、それがどうシナリオになるのかまったく読めません。そのため、初めのシナリオはキャンペーンシナリオの目的を探ることに費やされることになります。シナリオの目的がわかっても、その目的を達成するための方法も見えません。何かしてみないことには始まらないため、とりあえず試行錯誤することになります。こう書くと氏のマスタリングが不親切に聞こえるかも知れません。たしかに最初はとっつきにくいですが、何かアクションを起こせば必ずなんらかの反応があり、その全ての反応がシナリオに関係あるようで無いようでという曖昧なもののためかえって緊張感を強いられ、それほど不親切には感じません。しかもクライマックスに達すれば不条理で破綻しているように見えたその時々の反応がすべて合理的であることがわかります。恐ろしく複雑で、プレイ中には決してわからないような伏線も最後にはすべて解決されるのです。氏のシナリオノートにはイベントと線の組合わせ図が書かれています。丁度雑誌などで見る、yseかnoで線を辿っていくとタイプが判別される質問表のようなものだと思ってください。氏のシナリオを例えようとしても例えようがありません。あえて言うならミステリートレインのようなものだとしか言いようがありません。
以上、四日に渡り四種四様のマスタを紹介しました。どのマスタリングが一番優れているということはなく、全て一長一短があります。だからTRPGは面白いのです。


 

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