2000/09/12
私的マスタ列伝3
かのS氏ですらそのプロットにおいてまったくかなわない、そしてもちろん私などは足元に及ばない、ある種の究極のマスタというのが存在します。その男はF氏と言います。
彼のマスタリングはプレイヤ一人一人がどのような道順を辿ってどのような行動をとり、どういう結果を生むのかを完璧にトレースしています。そのため彼のシナリオには途中参加も途中下車もできませんし、また初見のプレイヤに対しては決してシナリオを参加させません。少なくとも三回はそのプレイヤのプレイを見ないと参加させることはできないのです。そのかわり、プレイは完璧に仕上がります。恐ろしく緻密に計算し尽くされているからです。実は本来は有り得ないはずのダイスの目まで彼のシナリオには記述されています。一度だけ、彼のシナリオノートを拝見する機会がありました。それにはシナリオの最初から最後までの流れと、各プレイヤの反応、それに対する受け答え、さらにはどこでクリティカルヒットを何回くらい出すかまで、びっしりと書き込まれていました。そして恐ろしいことにそのシナリオのクライマックスには「ここでHがどっかーん」という謎の言葉が書かれていたのです。何のことかわからなかったので彼に尋ねたのですが、教えてはくれませんでした。ロールプレイが始まり、私が見ているとプレイヤはまさしく彼のシナリオノートどおりの行動を取ります。それは100%の的中率を誇り、シナリオはどんどんと進んでいきます。そして例のクライマックスです。プレイヤの一人のH氏が「そんなの間違っている」と叫び、突然の戦闘となりました。なんと、F氏はこのH氏がいつ切れるかを予測してそれをシナリオノートに書いていたのです。F氏曰く、各プレイヤにはどっかーん指数というのがあり、シナリオの進行度合いによって増減し、ある一定量を越えたらどっかーんとなるのだそうで、同じような展開でも遅すぎても早すぎても駄目というのですが、もちろん私には未だにわかりません。
彼のシナリオはどこどこに何時に寄って、どこを観光し、何を食べるかまで完璧に決まっており、しかもスケジュールどおりに終わるバスツアーに例えることができると思います。


 

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