2002/06/24
空と海は何故青いの話3
続きです。
前述したとおりレイリー散乱は波長に比べて粒子がはるかに小さくないと発生しない現象です。水の粒子はレイリー散乱を発生させるほど小さくありません。これもまた「たまたま」なのですが、濃い水蒸気の塊である雲の粒子の大きさは、光の大きさとほぼ同じです。そのため、波長と粒子の大きさがほぼ同じ場合に発生するミー散乱が起こります。ミー散乱は波長の長さによって散乱力は変化しないため、雲の中では全ての色において同等のミー散乱が起こります。だから雲は白く見えるのです。それでは、海が青い理由はなんでしょうか。残念ながら、光の波長よりも大きい水の粒子ではレイリー散乱もミー散乱も発生しません。代わりに光の吸収という現象が発生します。この吸収の現象は、最初に書いた色の原理とは異なります。水は全ての色の一部を反射します(だから浅い水面に顔が映る)し、全ての色を吸収します。ただし、吸収され易い色というのは決まっており、それは波長の長い光です。そのため、赤から順に吸収されていき、波長の短い青、紺、紫の光だけが残ります。これらの光が海底に到達すると、反射され、また水面上に戻ってき、その色を我々が感じるのです。紫の光を感じないのは乱反射され易いためです。海底が深いほど海の色が黒っぽくなるのは途中で吸収される光の量が多いため海底面で反射される光の量が減るからです。これには海底面の色によっても影響されます。海で泳いでいると砂浜が切れて岩場になった途端に海水の色が濃くなるという経験をしたことがあると思いますが、これは砂浜の色が白っぽくて光を反射し易いのに対して、岩場は色が黒っぽくて光を反射し難いために起こる現象です。空の色が青いのと海の色が青いのは、散乱と反射という、まったく性質の異なる理由によるものなのです。
最後にちょっとしたクイズを。コップの中の水は何色でしょうか。実は透明ではありません。本当に透明なら、水が入っていることすら判らないはずです。コップの中の水はほとんど透明ですが、本当は薄い水色なのです。


 

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