2000/07/10
特許の話1
以前、メモリの話に絡んで特許に関して少しだけ書いたことがあります。あのときはさっと流してしまったため、誤解を招いた部分があったようです。私自身、一度きちんとまとめないといけないなと思ってましたので、今回から数回に渡って特許の話を書きます。なお、これは日本における特許の話であり、海外においては微妙に違う場合があります。
特許というのは知的所有権の中の工業所有権に属します。工業所有権に属さない知的所有権には著作権があります。工業所有権には特許以外にも実用新案や意匠や商標などがあります。特許は出願後、基本的には20年でその保護期間が消滅します。5年までの延長は可能ですが、最大でも25年で消滅してしまいます。しかもこれは出願後、なので、後で述べる審査請求がいつされようとも期間が増えることはありません。いくら寝かせておいても保護期間が増えるわけでもありません。実用新案(物品の形状や構造、組み合わせなどにかかります。例えばいちご大福なんてのは実用新案ですね。これは審査不要です)は6年、意匠(物品の形状や模様、色彩にかかります)は15年、商標(名称やマークなどです)は10年(ただし更新可能です)保護されます。そうそう、特許が認められる事例について書いていませんでした。特許が認められるのは発明に対して、つまり「自然法則を利用した技術思想の創作のうち高度のもの」(特許法第2条)のうち「新規性があり、進歩性のある産業上利用することができる発明」(特許法第29条)のみです。ですから、自然法則そのもの(例えば自由落下の法則)や産業上利用できないものに対して特許を取ることはできません。ちなみに、保護期間が切れたからといって他者や自分自身がその特許を真似して新たに特許を取ることもできません。何故なら特許の適用には「未公開技術」という前提があるからです。既知の技術(公然知られた発明や、公然実施された発明、刊行物に記載された発明)は特許にできません(特許法第29条)。
では、実際に特許がどのように確立するのかを明日に書こうと思います。


 

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