ひらりマント考 ひらりマントは便利なアイテムである。
その原理を考えてみよう。

まず初めに思い付いたのは「摩擦抵抗がまったくない(に近い)化繊」である。
だが、この説にはクリティカルな欠点が2つ指摘されている。
まず第一に「どうやって持つのか」
摩擦抵抗がない物体を持つことはできない。
うなぎを握ることを考えてみればわかるだろう。
次に「光線兵器をかわすことができる」という問題がある。
光とは速度が無限大で質量がゼロの物質である
光の速度は光速度という単位で記述されるじゃないか、と思われる方もいるかも知れないが、それは停止視点での相対速度であり、相対性理論により光自身は経過時間がゼロであり、速度=距離/時間なので速度無限大となる。
このような物質に摩擦抵抗は関係ない。
摩擦抵抗は質量(正確には垂直抗力)に比例する係数であり、質量がゼロの物質に関しては働かない(同様の理由により、反重力(反引力)装置も質量がなければ効果がない)。

光すら屈折するためには。
ブラックホールである。
ブラックホールは巨大な重力波により時空間の歪曲を発生させ、そのため光すら屈折する
問題はこの方法では曲げたほうも曲げられたほうも無事では済まされないということだ。

さて、もっと簡単に光を曲げるには。
プリズムである。
子供の頃に遊んだ、あれである。
空間をプリズム化して固定すれば光は屈折してしまう
また、光を屈折するときに発生する熱エネルギーを最小限に抑えるためには表面を充分に滑らかにする必要がある。
つまり、抵抗を極端に低くする必要があるのだ。
ということは、ひらりマントの表面に四角錐型のプリズムを発生させることにより、光はプリズム効果で曲げ、物質は抵抗の低いプリズム表面を滑らせることによってかわすのである。
四角錘のプリズム
しかし、この方法にも2つほど欠点がある
1つ目の問題は、垂直に降りてきた物質が四角錘の頂点に突き刺さることがあるということだ。
もう1つの問題は、この方法では重い物体に対する衝突時の力を自分が受けてしまうという問題である。
例えばある物質が45度の角度でプリズムに衝突した場合、そのプリズムに垂直に働く力はその物質の重さ×加速度÷2となる。
単純に真正面から衝突したときにうける衝撃の半分の衝撃は受けると考えて良い。

ここで海老沢博士に登場してもらおう。
海老沢博士は、かのオキシジェンデストロイヤーを発明した芹沢博士(初代ゴジラでゴジラを倒した人)のはとこの同級生の友人、つまり赤の他人という人物である。
逆転の発想をもって果敢にもひらりマントに挑戦し、ひらりマントの効果は「飛来物の方向を曲げる」のではなく「マントの持ち主を飛来物から遠ざけるように移動させる」のではないかという新説を編み出した。
そのプロセスは以下の通りである。
・まず、持ち主の速度をゼロにする。
・ひらりマントはこの時の運動エネルギーを「充電」する。
・ひらりマントに装備されているレーダーが、飛来物の方向をキャッチする。
・飛来物が間近まで接近する。
・飛来物を回避するのにもっとも効率のよい方向へ、充電したエネルギーを運動エネルギーとして解放する。
海老沢博士の説
まさしくコロンブスの卵的逆転の発想である。
ひらりマントが対象物を移動させると思うから駄目なのであって、ひらりマントを使った人物を動かしてしまえば結果的にかわしたことになる。
しかし、海老沢博士はこの説の弱点を自ら語っている。
初期段階で移動するエネルギーが低かった場合、もしくは運動しなかった場合、飛来物が直撃する。
また、本人の後ろにあるものには直撃する。つまりこの方法では建築物や、後ろにいる友人などを保護することはできない

万策尽き果てたのだろうか。
やはり、現代の科学と想像力をもってしてもひらりマントは解けないのであろうか。
ここに科学の敗北があるのだろうか。
ここにあおい氏に登場してもらおう。

「その前に、なんで光速度のレーザーを曲げられる反応速度があるわけ?」
うわぁ
新たな謎が沸いて出てしまった。
時間止めるしかないでしょ」
この瞬間、ひらりマントの謎は解けたのである。
ひらりマントは限定されたタイム風呂敷のようなものである、という新説によって。
原理はこうである。
・ひらりマントは振られた瞬間に振られた延長線上に存在する物質の時間を停止、もしくは極端に遅くさせる。
・この効果により、光すら停止、または相対的に遅くなり(絶対的には光速度)、目視可能になる。
また、無限に小さな時間の流れに対してひらりマントの移動というわずかな運動は固定された空間を動かすのに充分な力となる。
これによってひらりマントは時間的に静止された空間を移動させ、回避することが可能なのだ。
こうして、またもや科学と想像力は22世紀の壁に到達した。


戻る
Topへ