2002/06/20
ジャンプで地震の話4
続きです。
小学生一人の重さを50キログラムとし、ジャンプ距離を30センチとします。1回のジャンプで得られる位置エネルギーはmghですが、重力加速度を約10として求めると、このときの位置エネルギー(=着地時のエネルギー)は50×10×0.3で、これは約150ジュールとなります。一方、以前に計算したとおりマグニチュード3は4.2×10の9乗ジュールですから、10万人が1回ずつ飛んだときのエネルギーで割ってみると2.8×10の2乗、つまり約280倍になります。多少の計算誤差があるとは言え、私は数値を多めに取っていると思います(重力加速度9.8も10で計算しているし、体重も小学生の平均より重い50キログラム、ジャンプも平均で30センチを1分間に20回も飛べるとは思えない)。それでも20回ジャンプでは全然足りません。7倍も違います(14倍ではない。前述したとおりジャンプした瞬間と着地した瞬間の2回エネルギーが発生するから)。100万人の間違いでしょうか(実際の参加者は100万人だったわけだし)。それならまだ納得がいきます。さて、くだんのサイトのリンク先を見ると、激しい地震計の移動が見られます。そのため、実験は成功したかのように見えますが、良く見ると、一番下の地震計がまったく揺れていません。上の二つの地震計の揺れは、なんと、ジャンプした地点(ロンドン科学博物館およびクラットフォード小学校)での震度計なのです。これが揺れるのは極めて当たり前ですよね。一方、一番下の地震計はクラットフォード小学校があるハンプシャー州の正式な地震計のようです。つまり、ジャンプした地点から多少離れた公式な地震計には、影響がまったくでなかった、という結果に終わったわけです。このページにはこのような現象が発生した理由も考察されています。これは「inverse square law(逆二乗の法則)」によるものだ、と。では逆二乗の法則とは何なのか説明しましょう。
続きます。


 

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