2002/04/26
分散コンピューティングの話3
続きです。
さらに、何らかのトラブルが発生した場合、どのマシンの問題なのか、場合によってはどのマシンとどのマシンの組み合わせの問題なのか、という調査に時間がかかってしまうという問題も出ました。あまりに複雑になりすぎたシステムは、原因を究明するよりもマシンごとそっくり入れ替えたほうが安くて速いという状況を生みました。たしかに、10倍の能力の大型コンピュータよりは20台の中型コンピュータのほうが能力的なアドバンテージがあるとしても、100倍の能力の大型コンピュータを中型コンピュータで賄おうとするなら結局は500台くらい必要になり、そのためあらゆる面で大型コンピュータにかないません。これ以外にもサーバ間トラフィックの問題、IPアドレスの有限問題なども絡みます。また、コンピュータアーキテクチャ自身の問題もあり、例えばマシンの忙しさに格差が出てしまう点も挙げられます。いくら機能単位で処理を分散しても、その機能の中にはよく使われる機能もあれば、ほとんど使われない機能もあります。複数の機能の組み合わせによって、使用頻度をだいたい同じにしたとしてもこれらの機能の使用頻度は時間によっても異なります。そのため、結局は電力会社の電力線のように最高値を基準に機能設定する必要があり、処理能力としては無駄になることが多くなります。これらの事情が大型コンピュータによる集中管理に戻してしまったのです。これによって分散コンピューティングそのものの命脈が途絶えるかと思ったのですが、近年は最初に述べたとおり分散コンピューティングそのものの質が変化しました。グリッドコンピューティングの発展です。グリッドコンピューティングそのものは、どうも人によって解釈が異なり、私自身もいまいち掴みきれていないため、間違っているかも知れませんが、古い分散コンピューティング手法と、グリッドコンピューティングの最大の違いは、マシンの能力を静的に使用するか、動的に使用するかの違いではないかと思います。
続きます。


 

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