2002/01/24
オーストリッチの話1
私の行き付けの店の一つに、名前は出せませんが、小さなステーキ屋があります。ここの親父がなかなか楽しい人で、子供が生まれる前はわりと頻繁に行っていたのですが、子供ができてからは行っていませんでした。本当に小さな店ですから狂牛病の騒ぎでまだ残っているのかが心配でしたが、ちゃんとありました。やはりというか、客は私しかいませんでした。親父と話したのですが、狂牛病のダメージはいまだ深刻なようです。親父はさすがに死活問題なだけあって、狂牛病とクロイツヤコブ病の関係についてなかなか詳しく、色々と話しながらいざステーキを選ぼうとしたら、そこにオーストリッチの肉があるじゃないですか。
オーストリッチといっても知らない人も多いでしょうから、ちょっと説明します。そもそもオーストリッチというのはダチョウの一種(ダチョウと同じものだと思っている人がいるようだが、あくまで一種に過ぎない)で、安価な飼料で飼育可能な上、1年くらいで出荷可能な大きさに育ち、しかもエネルギー効率は牛の数十倍と言われ、繁殖力も高い上に糞もほとんどだしません。飼育可能な領域も、赤道近くから零下30度の世界まで可能と言われており、生後数ヶ月の間の死亡率が高いという欠点を含めても今後牛にとって変わるだろうといわれている優良家畜です。その飼育自体は今から250年ほど前から南アフリカ共和国で行われていました(食用としては1945年にクラインカール地方で始まった)が、他国で飼育されるようになったのはほんの10年ほどです。というのも近年までアフリカ諸国がオーストリッチの輸出を禁止していたからです(これはオーストリッチの羽や皮が高級装飾品として使われていたため、独占する目的だったといわれている)。日本でのオーストリッチ飼育は1990年に沖縄県国頭郡今帰仁村に導入されたのが始まりですが、このときは食肉を目的としてはいませんでした。食肉として初めてオーストリッチを導入したのは北海道の東藻琴村で、これは1995年のことです。
続きます。


 

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