2001/12/28
切干大根の話2
続きです。
切干大根に限らず、乾燥食品や塩漬類は、生の食品よりも栄養価が高くなります。よそから栄養を補給したわけでもないのに、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。ものの本には太陽光エネルギーが云々と書かれていますが、これは嘘ですから信じてはいけません。これには数学的なトリックが含まれています。重要なのは、単位重量あたりの栄養価が増えるということなのです。大根を含めて、あらゆる食材には水分が含まれています。そして、特に野菜類には多くの水分が含まれています。水分そのものには栄養がありませんから、水分が蒸発すれば栄養は濃縮されます。そのため、「単位重量あたり」の栄養価が上昇するというのが真実です(一部、たんぱく質の変成や分解発酵も起こるが、栄養素量そのものは変化しない)。これは塩漬も浸透圧によって一種の乾燥を行うわけですから同じ話です。結局、乾燥食品の栄養価が生野菜の何倍という話は、ようは5倍濃縮したオレンジジュースは濃縮前のオレンジジュースの5倍の栄養価と言っているに過ぎないのです。大根の場合、その97%くらいは水分ですから、栄養価は本来30倍になります。水分と一緒に栄養素も多少は失われるため、決して30倍という数字にはなりませんが。ただし、乾燥食品は総量も減りますから、単位体積あたりの栄養価も増えます。そのため、特に野菜類は大量に摂取することができますから、これは優れた加工法といえます。大根サラダ一杯分の大根は切干大根に換算するならおよそ16分の1程度の体積を採れば同じということになります。
最後に良い切干大根を選ぶ方法を。切干大根は色が明るいあめ色をしたものを選びましょう。白すぎるものは漂白しているか機械乾燥している可能性があります。暗いあめ色をしているものは、今度は古すぎる可能性があります。色むらのあるものは、葉に近い部分(大根の緑色の部分)と、根もとの部分がごちゃごちゃになっている可能性があり、その場合固さや糖度が微妙に違うために戻しむらができますので、避けましょう。


 

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