2001/10/30
海綿状脳症の歴史の話4
イギリス以外ではこの狂牛病に対してどう見ていたのでしょうか。
実はヨーロッパでも狂牛病は完全に対岸の火事としていました。イギリスの牛の輸入を止めれば自国の牛は安全と、まったく根拠のない論理が展開されていたのです。ところが2000年の末になってヨーロッパ諸国も狂牛病の危険から安全ではないことが明らかにされてしまいました。特にフランスではスーパーマーケット上で狂牛病に感染した牛の肉が売られていたことが明らかになり、また政府もそれを認めたため、パニック状態になりました(この問題に直接絡んでいるわけではないが、非定型クロイツフェルトヤコブ病にかかったフランス人の家族がイギリス、フランスおよびEUを相手に訴訟を起こしている)。この問題でロシアとイタリア、スペインといった国々がフランス産の牛肉の輸入停止などをおこし、さらにこの問題はヨーロッパ全土に広がり、ドイツでは二人の大臣が責任を取らされることとなりました。さて、日本ではどうでしょうか。すでに何度か報道されたため知っているかも知れませんが、日本でも2000年末までヨーロッパから肉骨粉を輸入していましたから当然感染の危険がありました。農林水産省もEUに報告書の作成を依頼しているくらいです。もちろん、EUは日本で狂牛病が発生する可能性に関する報告書を作成しました。この報告書では日本国内で狂牛病が発生する可能性を、既に発生しているフランスと同じくらい危険である(ランク3)と評価していました。にも関わらず、農林水産省はこの報告書を握りつぶしたのです。この問題はいろいろと理由について考察されていますが、今は言及を避けます。なんにせよ時点で予防対策をきちんと行い、説明をし、被害の拡大を防ぐ措置を取っていればよいものを、まったく対策しなかったためそれから3ヶ月後に日本国内で狂牛病が発見されたときのパニックやその肉骨粉を処理しなかったという失態を招くことになります。そして牛肉の不買運動に繋がり、今まさにその真っ最中なのはご存じのとおりです。
明日からはプリオンについて説明しようと思います。


 

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