2001/10/03
共生の話1
魚の話をすると思い出すのがイソギンチャクとクマノミの共生関係です。でも、この共生関係が嘘っぱちだってことは知ってましたか?
イソギンチャクとクマノミの共生関係はあまりに有名なので知らない人はいないと思いますが一応説明しますと、クマノミという魚はスズメダイ科の魚で体長は最大で15cm程度という小魚です。この魚はイソギンチャクの毒に免疫があり(一説では特殊な粘液で身を守っているという)、イソギンチャクの触手の間に入り込んでもイソギンチャクの毒にやられることがありません。そこでイソギンチャクの触手の間に身を置いて自分を守ってもらい、その代わりにイソギンチャクの食べ残しを掃除したり、他の魚をおびき寄せたりする、持ちつ持たれつの甘い共生関係にあると言われているのです。しかし、いまだにテレビなどで共生関係などと言っていますが、最近の調査ではこれは完全に誤りだということがわかっています。まず、クマノミがイソギンチャクの食べ残しを食べるというのは本当ですが、食べるのはイソギンチャクの食べ残しだけではありません。イソギンチャクの大事な触手を食べてしまったり、イソギンチャクの腸内に入ってその内臓を食べてしまったりもすることが確認されているのです。さらに、他の魚をおびき寄せる件に関しても誤りであることが判明しています。これはどこの機関の調査だったか忘れましたが、クマノミのいるイソギンチャクとクマノミのいないイソギンチャクで単位時間あたりの捕食率を調べたデータがあり、結果としてクマノミの存在はイソギンチャクの捕食率にまったく寄与していないことが確認されました。つまりイソギンチャクとクマノミは共生関係などという甘い関係ではなく、クマノミはイソギンチャクに一方的に寄生しており、イソギンチャクの天敵に過ぎなかったということです。魚の世界も世知辛いものです。
では本当に魚の世界に共生関係というのは存在しないのでしょうか。そこで調べてみたところ、いいのが見つかりました。明日はそれについて書きます。


 

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