2001/09/08
茄子は体を冷やす?の話
そろそろ秋も近づき、茄子が美味しい季節になってきました。茄子といえば「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉があります。これは秋茄子のようなうまいものを出すと嫁が飯をたくさん食べてしまうから出すな、といういびりの言葉だという人もいれば、茄子は体を冷やす食品だからおなかを壊さないようにという親切心だという人もいます。同じように体を冷やす食品としては豚肉なんかが有名で、牛肉は逆に体を温める食品とか言われています。ふーん、で終わりそうな話です。しかしですよ。この茄子だの豚肉だのは体を冷やすというのはどこから生まれたのでしょう。その根拠はどこにあるのでしょう。
というわけで調べてみたところ、とんでもないことがわかりました。世の中の食物には陰と陽があり、陰の食べ物は体を冷やし、陽の食べ物は体を温めるというのがその根拠なのです。つまり、これは陰陽道の発想だったのです。もっとはっきり言いましょうか。完全な迷信ででたらめもいいところ。アルカリ食品よりも酷い。一応、科学っぽい説明をしているところではその比熱効果を上げているものがあります。例えば鉄と水では水のほうが比熱が高いため、温度を一度上げるのに必要なエネルギーが鉄より多くなります。よって10度に冷えた水と10度に冷えた鉄を食べた(笑)とすると、鉄の比熱は低いのでちょっとした熱ですぐに暖まり、体がもらえる冷気が少なく、逆に水は比熱が高いのでなかなか暖まらず、体がもらう冷気が多くなります。よって水は鉄に比べれば体を冷やす、と。たしかにこれは本当ですが、では逆に水と鉄を40度にして食べた場合を考えてみましょう。その場合、体がもらえる暖気は鉄よりも水のほうが多いのはわかると思います。つまり、体を冷やすという食品は温めたときには体を温める食品にならなければおかしいのです。しかし、どの本や情報を見てもそんなことは書いていません。つまり比熱効果は適当につけた理由だというのが明らかです。
当たり前と思っていることでも、よく考えてみるとおかしいと思うことはあるものです。茄子は体を冷やすという言葉も当たり前のように信じられていますが、呪術で迷信に過ぎなかったりするわけです。


 

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