2001/08/05
日本酒の話
最近の日本酒の流行りは淡麗辛口です。そして、私が最も美味しくないと感じる日本酒もまた淡麗辛口です。
何故このような馬鹿げた流行が出たのかまでは知りませんが、確かに淡麗辛口系の日本酒というのはどのような料理にも合いますし、飲みやすいと言えます。下手をすると他の国の料理にも合ってしまったりします。しかし、そこに感動はありません。例えば淡麗辛口の代表選手として上善水如を出しましょう。この酒はたしかに淡麗辛口の酒の中でも美味しい酒のほうだと思いますし、あらゆる料理と合わせても違和感なく楽しめます。しかし、これはただ違和感が無いというだけの話で、別に上善水如と料理を一緒に食べれば料理の味がよくなるということでもありません。この酒の名前の通り、水の代わりに飲めるというだけの話です。私は数々の日本酒を飲んできました。越乃寒梅、峰乃白梅、雪中梅という、いわゆる新潟三梅すら飲んでいます。この非淡麗系の三梅の中でも雪中酒は特に濃厚甘口系の酒で、これと合う料理というのはかなり難しいのですが、飲んで感動できる美味さを持つ酒でしたね。飲んで感動できる日本酒と出会えたというのは人生の喜びと言って良いと思うのですがこのような経験は上善水如のような淡麗辛口の酒を飲んでいて感じることができるとは到底思えません。とはいえ雪中梅クラスの日本酒というのはそうそう存在しているものでもなく、日本酒全体が淡麗辛口に向かってしまった昨今、もはや日本酒で感動を得るということはできないのかもしれません。そう思って日本酒に対する思いが消えつつあったのですが、最近、ある日本酒を飲む機会に恵まれました。その日本酒はふざけた名前なので期待はしていなかったのですが、一口飲んだ瞬間、背筋にぞくっとしたものが走り、体に震えが来ました。誇張ではありません。本当に体が震えたのです。私は今までこんなに美味い日本酒というのを飲んだことがありませんでした。まだまだ感動できる日本酒は世の中に残っていました。
その日本酒の名前は越つかの酒造の越乃あじわいという酒です。機会があれば飲んでみてください。


 

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