2001/06/03
寄りかかられ道の話2
昨日の続きです。おばさんの口紅をワイシャツにつけられた私は寄りかかられ道というものを作ることにしました。
まず、寄りかかられる側にとっての勝利条件を設定しました。相手にとって最もダメージの大きいことはなんでしょうか。それは目的駅で起きることができずに乗り過ごすことにつきるでしょう。私の勝利条件は、寄りかかってきた相手が目的の駅を乗り過ごすことと置きました。私はそれからというもの寄りかかりそうな人の隣にわざわざ座り、色々と思考錯誤し寄りかかられ道を極めるべく努力しました。やってみるとわかりますが、寄りかかられ道というのはかなり奥が深いもので、まず、相手の目的地が寄りかかられ始めから遠すぎても駄目ですし、近すぎても駄目です。また、目的地を乗り過ごさせるほど深く眠らせるには普通の寄りかかられかたでは駄目です。振り子のように左右に揺れる相手の頭を完全にこちらのほうに倒しこみ、電車の加減速に合わせて自分の体も微妙に左右に動かします。特に発車・停車時は目覚めやすいですから、クッションを効かせないと効果的に寝てくれません。大学への毎日の行き帰りに血の滲むような努力を重ね、寄りかかられ道の勝利のために自ら乗り過ごすこともたびたびありました。初めて寄りかかられ道で勝利したのはそれから実に半年後のことでした。しかも二駅乗り過ごさせという完全勝利でした。そこからは道を実践すると10回に1回程度は勝利するようになりました。ついには電車を見渡しただけで誰が寄りかかってきそうかわかるようにすらなりました。
こうして私は一年で寄りかかられ道をマスターしました。こんなまったく役に立たないことをマスターしても何の意味もないのですが・・・。ちなみに、このテーブルトークは大江戸線で寄りかかられ道を実践しつつ、書いています。あ、目覚めました。飯田橋に着いたことに気づいたようです。飛び降りようとしましたが、残念。扉が閉まりました。春日で降りて反対のホームに並んでます。お姉さん、寄りかかられ道の餌食となりました。ふふふ。


 

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