2001/02/16
本格的な推理小説の話
先日、某漫画をけなすようなことを書いたところ、そのファンを名乗る人から抗議を受けました。あんなしょうもない作品にいまだファンがついているとは驚きですね。ざっくり読んだところ、あまりに馬鹿馬鹿しかったのですが一応返事は書きました。ルパンでもシャーロックホームズでも金田一耕助でも明智小五郎でも構わないので一度でいいですから本格的な推理小説というものをお読みすることをお勧めしておきました。
その人はどうも、私が前回に書いた「偶然の入る可能性を入れてはならないという推理小説の基礎」という言葉に引っ掛かりを覚えたみたいですから、この件について話をします(その前に、ノックスの十戒くらいは読んで欲しいのですが)。この話を端的に表わした作品は実は漫画にあります。たがみよしひさ氏のなあばすぶれいくだうんです。この作品の中において、「奪った札束を橋の下からボートの上に落とすというトリック」について説明があり、これは不可能であるという結論に達しています。なぜなら、実行の日が雨で増水していたら。風が強かったら。風の影響を受けないために重しをつけた場合、船は転覆しないのか、といった事象が解決されず、またそこには記述されていませんでしたが、その船の周りに他の船がまったくない、という保証があるのかについても疑問です。つまり、これが「偶然の入る可能性」です。くだんの某漫画というのにはこの点がまったく考慮されておらず、犯行現場を誰も目撃していないのも偶然なら、犯行そのものも偶然。解決手段も理詰めではなく単なる偶然に頼るという、とっても偶然な作品でした。
一応、書いておきますが、私は自分のBBSであの作品の問題点をすべて指摘した上で、発表前に犯人を書いておりました。その的中確率は100%でした。あれはなかなか難しい作業で、どこが間違っているのか、本当はどうしたいのかという原作者の心理を読み、その心理に沿った「お気に入り」の解答を出さなければなりませんでした。元ゴーストライターという職業でなければできなかったと自分でも思います。


 

Topへ