2000/10/07
仏壇屋がPCDIY店の話
ちょっと前に話題になったパソコンケースに純金張りというのがありました。これは市販されているパソコン用ケースに金箔を張って上からコーティングしたものです。この金箔技術とコーティング技術というのはどうも特殊な技術だったらしく、普通のパーツ製造屋ではできない。そこで、そういう特殊な技術を有する業界に頼んだようです。そんな業界、日本にありましたっけ?実は仏壇を製造・販売している業者に頼んだのです。なるほど、たしかに以前、仏壇の金箔技術というのは世界でも最高レベルだと聞いたことがあります。
高齢化社会の足音が聞こえてくれば仏壇業界は繁盛するのではないかと素人考えを持ちますが、仏壇業界というのもなかなか大変らしく、今は構造的不況に陥っているようです。よく考えてみれば、平均寿命は伸びるし、最近は自然葬なんてものも出てきましたし、そもそもマンション住まいだとなかなか仏壇も置けませんし、和室のある家も減ってきていますし、そもそも仏壇が置けるような広さのある住まいというのが一種の贅沢ですし、これらの条件を満たしても先祖伝来?の仏壇みたいなものが家にあったりして需要が少ないでしょうし、不況に陥るのもわかる気がします。そこで上に書いた金箔担当した仏壇屋は生き残りをかけて、なんとインターネットオンリーのようですがパソコンパーツショップを開設してしまったのです。そこは少ないながら普通のパーツも扱っていますが、もちろん主力商品は自社製品の金箔パソコンケースです。それ以外にも金箔技術を駆使して金箔マウスだの金箔キーボードだのといった特殊な製品を出しています。
日本の伝統技術は後継者問題や大量生産・大量消費時代におされて廃れつつあります。ところが中にはこの金箔技術のように情報産業の中に潜りこんで生き続けるものもいるのです。最近は別のところですが漆塗りのパソコンケースというのも発売されました。もちろん繊細な模様入りです。伝統技術と最新技術の融合です。これぞ真のIT革命です。凄いぞ、日本の伝統技術。


 

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